あけび
「ね、あけぼ―?帰る?」
ん?ぼおっとしていた
あたしの顔を
向かいの席に座っていた
ミクがほっそりしていた
脚を組み直してこっちを見ていた
「え?何で?」
「だあって、あけぼ―時計ばっか
眺めてるんだもん」
帰りたいのかなあ―って
嫌でも思うっしょ?
涼しい顔をして
ミクはポテトを摘みながら
あたしに言った
「いや、ただぼ―っとしてただけ」
ケラっ、と笑えば笑うほど
ミクがな―んだ、と
晴れ晴れした笑顔を浮かべるほど
あたしは上手に嘘が上手だな、
と感じて何かぽっかり
心臓が起動してないような
感覚におちいった