それぞれのstory。


「こんな時間に…突然どうした??」

廊下を歩きながら、歩が少し心配げに話しかけてきた。


「うん…急にごめんね。
用事出来て…。」
「ふーん。
あっ、親父も居るよ??」
歩は深くは聞かずに、そうサラッと話題を変えた。

「この時間だもんね。」
「だな。
まぁ、たまにしか帰らないんだし、会話してやれよ??」
「うん。
でも、一応たまに電話してるからね??」
「はいはい。
親父、姉ちゃん来た。」
歩と話してると、短い廊下だからあっという間で、先に歩いてた歩がリビングの扉を開けて、そうパパに言った。



「朱音…おかえり。」
「うん…ただいま。」
リビング入ってすぐのソファーに座ってたパパが振り返って、笑顔で私にそう言ったので私も笑んで返す。

それで、歩はパパの斜めのソファーに座り、私は正面のソファーに腰掛けた。



「で、どうした??」
やっぱり、急だったから気になるらしく、パパも少し心配そうに聞いてきた。

「うん…今日ドレスの試着したの。

でも、心蒔は仕事だったから来れなくて…。

なのに、私心の何処かで安心しちゃったの。」
「どういう事だ??」
「心蒔さんと結婚したくないの??」
私の話にパパと歩が訝しげに、聞いてくる。


「ううん…そうじゃないの。
心蒔に告白された時もプロポーズされた時もかなり悩んで決めたから。

気持ちは変わらない。

だけどね、素直に幸せになれてないって言うか。

まだ、自分の中で透琉の事…終わってないの。

勿論、これからだって忘れない。

上手く説明出来ないけど…このままじゃきっと駄目だと思うの。
後悔するっていうか、引きずるっていうか……。


だから、ちゃんとしようと思う。」
私は上手くない言葉でそう自分の気持ちを2人に、真剣に話した。



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