それぞれのstory。


それから、数年後…。


「いらっしゃい。」

「ご無沙汰してます。」

私は心蒔との間に出来た双子の子供達を連れて、透琉の家を訪れた。

お母さんは、変わらない優しい笑顔で迎えてくれた。


一応言っておくと、別に心蒔と喧嘩したから逃げてきたわけじゃなくて、今日は透琉の15回目の命日だから。

子供達が生まれてから、当日に来れない事もあったけど、やっと小学校に上がって連れていける余裕も出来たから。


「2人ともこんにちわして??」

「「こんにちわ。」」
私が言うと、2人はよく分かってない感じもしたけど、笑顔で挨拶してくれた。


「こんにちわ。
皆どうぞあがって。」
お母さんにそう言ってもらって、私達は居間に通してもらった。

やっぱり家の中もあまり変わってない事が何だか嬉しかった。


3人ならんでソファーに腰掛けると、直ぐにお母さんがジュースと紅茶とお菓子を持ってきてくれた。

すると、2人は直ぐに手を伸ばしてお菓子を食べ始めた。

「あっ、こら。
駄目でしょ!?
ちゃんとお礼言ってからにしなさい。」
「フフッ、良いのよ。
大きくなったね。
透真くんと心音ちゃん。」
私が何も言わず食べ始めた2人を注意すると、お母さんが笑顔で言ってくれた。


そう、私達の双子のの子供達は、男の子と女の子だった。

名前は、男の子が透真(トウマ)で、女の子が心音(ココネ)と言う。


お母さんには、まだ一回赤ちゃんの時に会わせたきりだったけど、毎年年賀状の交換はしていて、2人を優しい眼差しで見つめて言ってくれた。


孫のように思ってくれてるのかもしれない。


「はい。
小学1年生になりました。」

「そう。
朱音ちゃん、ずっと聞こうと思ってたんだけど…良かったの??

透琉の名前まで入れてもらって。」
さっきまで、微笑んでいたお母さんが、少し聞きづらそうにそう言った。



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