それぞれのstory。
「えっ、雄ちゃん?
どうして??」
「えっ、何々?
知り合い??」
「だから、離せって。
瑚遥、行くよ。」
驚きのあまり停止したままの私とその手を掴んだままの男の子の問いはスルーで、男の子の手を私から離させると雄ちゃんは私の手を引いて歩き出した。
「ちょっ、瑚遥。
誰それ?」
「何処行くの??」
「ごめん。
莉那、麻希。
私帰るね。」
慌てて聞いてくる友人達にそれだけ言って、雄ちゃんと一緒に店を出た。
「雄ちゃん…、雄ちゃんってば。
待って!
どうしてあそこに?」
「瑚遥こそ、何であんな集まりに??
男がほしいの??」
私の腕を強く掴んで引っ張って先を歩く雄ちゃんの腕を掴まれてない方の手で掴んで呼び掛けると、勢いよく此方に振り返り早口でそう言われた。
「いや、ほしくない。
友達に人数あわせで連れてかれただけで。
雄ちゃん、何か怒ってる??」
「うん。
瑚遥のせい。」
「えっ、うん?
何で??」
「気づかない?
俺の気持ち。」
「雄ちゃんの気持ち?
あっ、もしかして心配してくれたの??
ごめん。」
「はぁ…。
鈍感。」
雄ちゃんは呆れたように溜め息を吐いた。