と・な・り。
「嘘じゃない。全く、あからさまに態度に出てただろうが、俺は。美優以外の奴はたいてい、気づいてたぞ。お袋たちも」
その時になって、やたらとお母さんが隼人とのことを本にしたいと言ったり、昨日のおばさんの楽しそうな顔が浮かんできた。
2人ともあたしたちが両想いだということがわかっていたからあんなに押してきたのか………。
妙にお母さんが乗り気だったことを思い出し、その本当の意味を知り納得した。
結局、あたしってお母さんの手の平で踊らされていたわけだ。
今にもお母さんの勝ち誇った顔が浮かんできそうであたしは頭を振った。
「でも………」
「なんだ? まだ、何かあるのか?」
その時に、あたしの頭に浮かんだのはやはり香取さんのこと。
隼人が香取さんのことを振ったのなら、やはり彼女の今までの行動の説明がつかない。
だって、彼女の行動はまるで隼人の彼女みたいで………。
だから、みんなももちろんあたしも付き合っているのだと思っていた。
それにあたしが見た隼人は香取さんがくっついていても別にそれといって離したりはしなかった。
あたしは、隼人のことを疑いの眼差しで見つめる。
「香取さんとは本当に付き合っていないの?」
「ああ」
即答する隼人。
だけど、納得できないあたしは自分の中にある疑問をぶつけていく。
「だけど、この前、朝一緒になった時、香取さん隼人にべったりくっついてたし、何より家にまで迎えに来てたじゃない」
「それは、まあ。あの日は俺もビックリしたけど、あれは香取が勝手にやっただけ」
「でも、学校でも2人が付き合ってるって………」
「確かに1ヶ月だけ付き合ったよ」
「ふぇ!?」