と・な・り。
「………は、はぁ!?」
鳩が豆鉄砲食らったような顔であたしを見てくる隼人。
だけど、あたしは隼人のことを無視して先に歩く。
「ちょ、ちょっと待てよ! どうして、付き合ってないんだよ。お前が俺のこと好きで、俺がお前のこと好き。両思いでどうして付き合わないんだよ」
納得いかないのか噛み付いてくる隼人。
あ~~~、もう、うるさいな~~~…。
「だって、隼人はどう思ってるか知らないけど、香取さんは絶対にまだ付き合っている気でいると思うよ。この前だって家に迎えに来てたし、今でもずっと隼人の傍にいるじゃん。あたしは、ややこしいことに巻き込まれるのは嫌なの」
「なんだよ、それ。じゃあ、お前は俺が香取と付き合ったほうがいいって言うのかよ」
「違う! そういうことじゃなくて、はっきりさせていないのに、付き合うのは嫌だってこと。学校のみんなは隼人と香取さんは付き合っていると思ってるよ。そんな中、あたしと隼人が付き合うってことは、香取さんをすごく傷つけると思う。だから、隼人は香取さんのことをきちっと片付けてきて。あたしも………はっきりさせるから」
そうだ。
隼人だけを責めている場合じゃない。
あたしだって、きちんとしなきゃ。
二岡のこと。ずっと待っていると言ってくれた二岡にきちんと話さなくちゃ。
自分の今の正直な気持ちを。
それがそこまで言ってくれた二岡に対してのあたしの誠意だ。