と・な・り。





 「なに、それ。お前、誰かと付き合ってんの?」


あたしの言葉に異常なほど反応した隼人。


あまりの思いつめた顔にあたしは1歩後ずさる。


「なっ、そんなわけないじゃん!」


「だって、今。きちんとしないとって言ってただろ? それって、誰かそういう奴がいるってことだろ?」


妙な勘違いをしてしまったらしい。


「付き合ってはいないよ」


「じゃあ、どうしてわざわざはっきりさせなきゃいけないんだよ。一体、誰のことなんだ?」


隼人は自分のことは棚に上げて、なぜかあたしを責めてくる。


どうして、そこまで突っかかってくるのよ。


「隼人には関係ないでしょ」


「関係あるに決まってるだろ? お前のことだぞ。あっ!」


ズイッと顔を寄せて言ってくる隼人だが、隼人は何を思い出したのか急に目を細めてあたしを見てくる。


「もしかして、この前の男か………」


「はぁ?」


一体、隼人が誰のことを指して言っているのかわからない。


だけど、隼人はなぜか確信を得たのか自信満々に言う。


一体、誰のこと言ってるんだろう。


「あの男。香取と3人で登校した時にお前が急に走っていって一緒にいった男か………」


げっ!


当たってる。


隼人は引きつるあたしの顔を見逃さなかったみたいで、すでに確信を持っていたものの確信をより深く強めた。




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