と・な・り。
「こらっ! 美優!」
ボ~ッとしていたあたしは目の前でパチンッ!と麻衣に両手で手を叩かれ、びっくりする。
「あんたのことだから、また自分よりも香取さんのほうが南条くんのことを好きかもしれないとか、うんとかかんとか考えていたんじゃないでしょうね」
正しくその通り。
もしかしたら、麻衣はあたしの思っていることが読めちゃうんじゃ………なんて、馬鹿なことを思ってしまう。
麻衣は何も言い返さないあたしに向って、ため息を吐く。
「やっぱり………」
妙に納得なんてされるから、あたしは焦って否定する。
もうすでに遅いんだけど。
「あ、あたし、別にそんなこと考えてないから! 第一、何もそんなこと言ってないのに、どうして『やっぱり』になっちゃうの!?」
必死に何とか言い繕うあたしに、麻衣は目を細め、冷めた目線をよこす。
「あんたは思ったことがすぐに顔に出るんだから。今さら、そんなこと言ったって無駄!」
ピシッ!と指摘され、思わず『う………』とうめき声を上げてしまったあたし。
だって、だって、だって~!
麻衣ったら、すごく怖いんだもん。
「はっきり言うけどね、美優。南条くんのことが好きだからって、あんなことしていいってことにはならないんだからね。どうせ、お人よしの美優のことだから、香取さんから南条くんのことを奪うようになった自分はこんなことされても仕方ないなんて思ってるんでしょ」
はい………。
正しく、その通りです。
全くその通りの麻衣の指摘にシュンと縮こまってしまうあたし。