と・な・り。
いきなり、麻衣に話をふられ、ビクッと反応してしまうあたし。
そんなあたしを見て、呆れた表情を見せる。
「なに、ボ~ッとしてんのよ。当事者はあんたでしょうが………」
それは………ご尤もです。
あたしはシュンとした顔で麻衣を見ながら、視線をゆっくりとだけど香取さんへと向ける。
そうだ………。
麻衣はきっかけをくれただけ。
この話は、あたしがきちんと香取さんと話して決着をつけなくちゃダメなんだ。
本当は最初から間違っていたのかもしれない。
隼人1人に、香取さんのことに決着をつけるように強要して、それじゃ、彼女の気持ちはついていけないかもしれない。
それをあたしは気づかずに、早く決着をつけることを強要した。
本当はあたしも隼人と一緒に香取さんと話さなくちゃいけなかったんだ。
初めからわかっていたことなのに………。
香取さんはまだ隼人のことを諦められていないって。
「香取さん。………あの」
「私、謝らないから! こんなことしたこと! 別にこうしたことに後悔もないし」
あたしの言葉など聞きたくないのか香取さんはあたしの言葉を遮るようにして強い口調で言ってきた。
まっすぐに睨みつける目。
あまりにも鋭いその目に体が竦む。
「だって、卑怯なのはあなたじゃない! 初めは南条くんのこと好きでもなんでもないみたいな顔しておいて、南条くんが誰かのものになりそうになったら、急に手のひらを返したように」
そんなつもりなんて全然なかった。
だけど、香取さんの言うことは当たっている。
隼人のことを今までそんな目で見たことはなかった。
隼人のことが好きだと気づいたのは、隼人が自分から離れたから。
自分の中ではそれが自分の正直な気持ちで、それが自然な流れだから普通に何も思っていなかった。
だけど、人から指摘されて、他の人からはそのように見られても仕方がないと思った。
「あたし………」