と・な・り。
「なるほどね~…。恋愛経験なんてゼロの状態の美優には、しょっぱなから大変な事態に陥っているわね~」
ダイニングテーブルにコーヒーを用意して、あたしとお母さんは向かいあう形で座っていた。
そして、あたしはお母さんにこれまでのこと、今日のこと、隼人とのことを全て話してしまった。
話し終わった後で、こんなに話してもよかったのかな?という後悔がないわけではないけど。
お母さんはコーヒーの湯気ををフゥ~…と吐くと、真っ直ぐにあたしの顔を見据えてきた。
「ねぇ………。美優は一体どうしたいの?」
「え? どうしたいって………?」
急に言われた言葉にあたしは意味がわからなくなる。
よく考えればわかることだったのかもしれない。
だけど、あたしにはお母さんが聞いてきたことは話の流れから脈絡のない言葉のように思えたんだ。
「だから、美優は一体、どうしたいのかって聞いているの。隼人くんと付き合いたいの? それとも付き合いたくないの?」
「そ、そんなの! 好きなんだから、付き合いたいに決まってるじゃない!」
あたしの言葉にお母さんは一瞬目を閉じたかと思うと、目を開け、あたしのことをまっすぐに見てきた。
いつもは少しとぼけたことを言うお母さんがこんな表情をすることにあたしは戸惑う。