と・な・り。


「ち、違います! 絶対に違います! 冗談でも止めてください! コイツがあたしの彼氏のわけないじゃないですか!」


思いっきり隼人を指さし必死に否定するあたし。


いきなり怒り出したあたしに金井さんは驚いた顔。


ちょっと、体がのけぞっちゃってる。


「あ………。そうだった…の。今まで2人は付き合ってると思ってた………。ハハハ………」


力なく笑う金井さん。


冗談でもそんなこと間違わないでよ。


まあ、誤解は解けたみたいだし、よかった…。


「まあ、今は違ってもそのうち付き合うかもしれないじゃない」


ホッとするのもつかの間、目の前に座っているお母さんがとんでもないことを言い出した。


「ちょっと、お母さん!」


「あっ! そうだ! いい案が浮かんだ。幼なじみの恋愛モノ…。どうだろう……。ちょっと、挑戦してみようかな? どう思う? 金井ちゃん」


あたしの咎める呼びかけなど無視して、お母さんはどんどんと先に話を進めていく。


とんでもないことを言い出しているのに、仕事の話になっているため金井さんも話しにのってくる。


「いいですね………。でも、先生。恋愛モノ苦手じゃなかったですか?」


「苦手よ。でも、目の前にいい素材がいるじゃない」


ニヤリとあたしと隼人を見つめるその目は、すでに商品を見定めているような目だ。


同じように金井さんもあたしと隼人のことを見てくる。


「そうですね。ちょっと、新しい作品としておもしろそうなので構成とか詰めてみましょうか」


なっ!


なぜか、話が進んでいる。


隼人とあたしを素材にした恋愛モノ~?


冗談じゃない。


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