と・な・り。
想像しただけで鳥肌が立ってきたじゃない。
「ちょっと、止めてよ! 冗談じゃないわよ。あたしと隼人なんて有り得ないんだから。想像の世界でだけでもそんな気持ちの悪いこと考えないでよ。ねっ! 隼人もそう思うでしょ?」
あたしと同じ被害にあっている隼人にもあたしは助けを求める。
隼人は一瞬カレーを持ったスプーンの動きを止めると皮肉った笑みをあたしに浮かべる。
「別にいいんじゃねぇ? 俺はどんな話になるか興味あるし………。俺と美優だろ?」
隼人は一瞬頭の中で想像したのか、いきなり笑い出した。
「な、なによ~~~!」
ム~ッと頬を膨らませていると。
「ほ~ら、こんな光景も小説で書けるのよ。絶対リアリティも出て、おもしろいと思うのよね」
「そうですね。身近な題材ですよね」
なんて、お母さんと金井さんは呑気にあたしたちを観察して話を進めている。
「ちょっと、お母さん!」
ドンッと机を叩いて抗議しようとしたあたしの前をお母さんと金井さんは敵前逃亡しだした。
「さてと、そろそろ締め切りの分に入らないとやばいわね。金井ちゃん、部屋に行きましょ」
「そうですね。先生には1分1秒でも早く書いていただかないと」
なんて言いながら、そそくさとリビングを出て行ってしまった。
残されたのは放置されたあたしと呑気にカレーを食べている隼人だけ………。