と・な・り。
「うるさいっ! ……っていうか、起きろって言うなら、いいかげん俺の上からどいてくれねぇ? 起きれないんだけど」
指をさされ、あたしは馬乗りの自分の体勢を見る。
布団があたしと隼人を仕切っているとはいえ、この体勢は………今、誰かが部屋に入ってきたら、確実にあたしが隼人を襲っていると勘違いされるのは間違いない。
「うわっ、ごめん」
あたしは慌てて、隼人の上から退き、ベッドから飛び降りる。
あたしが退くと、隼人はのそりのそりとだけどベッドから起き上がり、目を擦りながらも制服を取りに壁にかかっているハンガーに手をかけた。
そんな隼人の動作を見ながらもあたしは、とにかく言わずにはおれなくて、隼人に急かすように言ってしまう。
「ねえねえ。隼人からウチのお母さんに、『やっぱり、できません』って、言ってくれない?それぐらいしか、この状況を打破する方法ないと思うのよ」
「なんで、俺が?」
「だって、ウチのおか………きゃあ!」
言おうと隼人のことを見ると、隼人はまさに上半身、来ていたスウェットを脱ぎ捨てて裸の状態。
あたしは思わず向きを変え、隼人に背を向ける。
「なんだよ。………ああ…。別にこれぐらい恥ずかしがることないのに………。お前、そんな反応だと経験ないの丸わかりだぞ」
どうでもいい指摘をされ、ムカつくあたし。
だけど、当たってるだけに言い返せない。