と・な・り。
そんな風に思っていたときに、あたしは鳴海悠斗(なるみゆうと)くんという子に出会った。
鳴海くんは、小学生の時にはすでにかわいい感じの爽やかな男の子であたしたち女子の間ではアイドルみたいな感じだった。
そのかわいらしさも中学生になるとかっこよくなってきて、また、クールでもてるのに浮いた噂1つ出てこないところがまたよかったんだよね~。
部活でバスケをしている時なんて、まさに最高!
隼人もかっこよくてもててたけど、鳴海くんはまた別格だとあたしは思ってた。
学校では2人のうちのどちらがいいかって隼人派と鳴海派で分かれてたけど………。
思い出すと笑えてきた。
「なんだよ………。いきなり、笑いだして」
いきなり笑いだしたあたしのことを不気味な感じで見てくる隼人。
あたしはそんな隼人に手を振りながら、当時のことを話した。
「ああ………。そういえば、そんなことがあったな」
「でしょ!? あれはすごかったよね~…。隼人派と鳴海派で取っ組み合いでも始まりそうな勢いだったもん」
あれは中学2年の時。
中学の時にはすでに隼人の猫かぶりははじまっていて、すでに学園の王子様的になっていた。
それにくらべ、鳴海くんは自然なかっこよさとクールが女子の大半を虜にして、女子のバトルは激しくなっていったんだ。
別に鳴海くんも隼人もかっこいいのに、なぜかお互いが鳴海くんと隼人の気に入らないところを言い出して、喧嘩をはじめてしまった。
まあ、鳴海くんにしろ、隼人にしろ、全く本人はどちらがもてるかなんて気にしてないのに、女子だけが勝手にヒートアップして、最後には取っ組み合いに発展するほどだった。
結局最後は、巻き込まれそうになった鳴海くんの怒りの言葉によってその場は収拾されたのだけど………。
あまり、話さない大人しい彼が怒ったことでみんな驚いちゃって………。
実を言うと、彼のその言葉により隼人派のメンバーの幾人かは鳴海くん派へと流れてしまったらしい。