と・な・り。


「で?」


少し鳴海くんのことを考えていると急に麻衣が聞いてくる。


「ん? なにが?」


「だから! 新しい恋ってその相手は? 隼人くん?」


急に隼人の名前が出てきてあたしは面食らう。


「どうして、そこで隼人の名前が出てくるのよ! 隼人はただの幼なじみなの。それだけ! ………それに、新しい恋はしたいけど、相手なんてまだいないよ」


「え~? そうなの? 私はてっきり次の恋のお相手は隼人くんだと思ってた。だから、今日の頼みも困ってるのかな?って」


「そんなわけないじゃない。困ってたのは、あいつ、その手の話を持っていくと絶対嫌そうな顔するのよ。とばっちりがあたしに来るのよ。溜まったものじゃないわよ。だから! それだけ」


「ふ~ん……。まあ、美優がそう言うなら、私は何も言わないけど、後悔だけはしないようにね」


それだけ言うと、麻衣はさっさと廊下を歩いていってしまう。


な、なに?


今の言い方。予言?


麻衣の後姿を呆然と見ていたあたしに、追い立てるように始業のチャイムが鳴り響いた。


あっ、麻衣の奴。


もうすぐ、チャイム鳴るってわかってたら、それぐらい言ってくれてもいいのに!


さっさと1人で歩いていったわけを知り、あたしは怒りながらバタバタと教室へと走っていった。










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