と・な・り。







 「すまん。ちょっと遅くなったな」


そんな風に言いながら、禿げた頭を撫でる担当教師。


あたしは教師を見ながらも、隣の席へと視線を向ける。


すると、にっこりと笑う二岡と目が合い、あたしは途端に目をそらした。




なんだったの?


今のは………。


冗談?


それとも本気?


あたしは今までの二岡のあたしに対する行動を思い出す。


だけど、思い出してもどこにもあたしを好きだという行動は引っかからない。


どう考えても……。


もしかして、ただからかっただけなんだろうか?


それか、急に彼女が欲しくなったとか!


そうだ、そうに違いない。




勝手にそう結論付けると急にあたしは二岡に対して腹が立ってきた。


あたしは、そんな安っぽい女じゃないわよ!


思いっきり、二岡を睨みつけてからあたしはプイッと口を膨らませて顔をそむけた。









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