と・な・り。
「それでね~、その時の良助の顔が~…」
「へ~…そうなんだ」
一体、あたしも一緒に学校に行く意味なんてあるのかな?
一緒に行くとしても、まさしく一緒にいるだけ。
会話なんて2人だけでしているし、あたしはただ2人の会話を聞きながら、隣を歩いているだけ。
ああ…、早く学校に着かないかな~…。
一緒に行きたくなかったという気持ちは、今度は早く学校へと着いて欲しいという気持ちへと変わる。
いつもなら、家と学校の距離なんて近いと思っていたのに、今日はなんて遠いんだろ。
それに、もっとさっさと歩けばいいのに、2人は…というか、香取さんがゆっくりなペースでいつもの倍時間がかかっている気がする。
「はぁ~…」
声に出るほどのため息をついていると、あたしは目の前に見覚えのある人物を発見する。
まさに、天の助け!
あたしは、いつもならわざわざ声なんてかけない二岡を大声で呼ぶ。
「二岡~!」
このチャンスを活かさない手はない。
あたしは走り出し、二岡の傍まで駆けていく。
「え? 佐倉?」
いつもなら有り得ないあたしの行為に、二岡が驚いているのが目に見える。
だけど、そんなの無視無視!