と・な・り。





「それでね~、その時の良助の顔が~…」


「へ~…そうなんだ」


一体、あたしも一緒に学校に行く意味なんてあるのかな?


一緒に行くとしても、まさしく一緒にいるだけ。


会話なんて2人だけでしているし、あたしはただ2人の会話を聞きながら、隣を歩いているだけ。


ああ…、早く学校に着かないかな~…。


一緒に行きたくなかったという気持ちは、今度は早く学校へと着いて欲しいという気持ちへと変わる。


いつもなら、家と学校の距離なんて近いと思っていたのに、今日はなんて遠いんだろ。


それに、もっとさっさと歩けばいいのに、2人は…というか、香取さんがゆっくりなペースでいつもの倍時間がかかっている気がする。


「はぁ~…」


声に出るほどのため息をついていると、あたしは目の前に見覚えのある人物を発見する。


まさに、天の助け!


あたしは、いつもならわざわざ声なんてかけない二岡を大声で呼ぶ。


「二岡~!」


このチャンスを活かさない手はない。


あたしは走り出し、二岡の傍まで駆けていく。


「え? 佐倉?」


いつもなら有り得ないあたしの行為に、二岡が驚いているのが目に見える。


だけど、そんなの無視無視!


< 82 / 167 >

この作品をシェア

pagetop