と・な・り。


「今日のリーディングの課題はちゃんとやってきたの?」


下手なことを聞かれないためにあたしは二岡の横を歩きながら話し出す。


「ああ、一応。…ところで、あいつらと一緒に来てたんだろ? ほったらかしでいいのか?」


「いいの、いいの」


隼人と香取さんの方をちらちらと見ながら、あたしに聞いてくる二岡。


だけど、あたしは即答する。


即答したにも関わらず二岡は納得できないのか、あたしと隼人たちのほうをまだ交合に見ている。


「なに? 修羅場?」


「別に。ただ当てつけられてただけ」


「なんだ、それ」


「別にいいでしょ。それより、さっさと教室入ろう」


あたしは二岡の服の袖を引っ張りながら強引に連れて行く。


隼人たちがあたしのことを見ているのはわかる。


だけど、あたしは1度も振り返らずにその場からさっさと逃げた。






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