と・な・り。


「美優」


麻衣があたしの頭を優しく撫でる。


いつもは、突き放したりと冷たいのに、どうして今日はこんなに優しいのよ。


ますます涙が出てくるじゃない。


「本当に馬鹿ね………。今は思う存分泣きな。私が隠しててあげるから………。泣いたら少しはすっきりすると思うからさ。泣きたい時に泣かないと、もっと苦しくなるから」


「………あり…がと……ヒッ…麻衣………」


机に伏せながら、漏れそうになる嗚咽を右手で口に手を当て堪える。


だけど、止めようと思っていてもヒックと漏れる声と肩の震えに麻衣が一生懸命背中を擦ってくれる。


苦しくて辛い。


だけど、隼人に香取さんという彼女の存在があっても、あたしはこの気持ちを消すことができない。


鳴海くんの時は、ショックだったけど、彼女がいるとわかって諦める気持ちがあった。


だけど、今はそんなことさえできない。


一瞬一瞬に隼人の顔が浮かぶ。


苦しい………。


胸が張り裂けそうなほどに………。






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