と・な・り。
この妙にガキっぽい男。
南条隼人(なんじょうはやと)とは生まれてからの付き合いで今年で17年になる。
生まれた時からお隣さんで、どこに行くのもいつも隣にはこいつがいた。
いわゆる腐れ縁?
ちょっと違うな。
クラスは別だもんね。
ずっと同じクラスってわけではなかったし………。
ただ、はっきり言えるのは、こいつの本性を知っているのはあたしだけだということ。
ちょっと前にも言ったけど、隼人は学校では猫をかぶってます。
さっきのようにあたしの言ったことがよくわからないほどの鈍さとアホさ加減をだしていたのに、なぜか成績は学年でも必ず10位までに入っている。
部活には入っていないけど、スポーツもできる………文武両道ってやつ?
おまけに、おばさんの血を引いているため、顔もかっこいいらしい………。
あたしなんて、生まれてすぐからこんな顔を見てたから、それほどとは思わないけど、学校ではファンクラブまでできている始末。
これにはさすがのあたしも驚いたけど。
まあ、確かに学校での隼人は完璧人間を装っている。
優等生と言われればそうだけど、それだけじゃなく男女共に優しく、気さくな雰囲気もちゃんと出していて。
同級生だけじゃなく、上級生、下級生にまでその人気は高い。
いつから隼人が学校では自分を作るようになったのかは覚えてないけど、もてることを意識しているとしたら大成功だと思う。
毎日のように隼人の下駄箱の中には数え切れないほどのラブレターが入ってたりするから。
あたしは横目でちらりと隼人を見る。
見ると、隼人は優等生モードに入るために緩めていたネクタイをしっかりと締め、乱れていた制服を直していた。
直すぐらいなら、はじめからちゃんと着ていたらいいのに。
毎日のことながら、思っちゃう。