生意気悪魔
ケイトは頭を前へ動かすと、空気をめいいっぱい吸い込んだ。

『にゃぁぁぁ━━━ん』

透き通るほど澄んで高い声が響いた。

決してうるさくはない。

しかし、どこまでも届くような声だった。

空気が大きく振動したような気がして、さっきまで吹き荒れていた嵐は嘘のように消え去り、水晶から白い煙とともになにかがあらわれた。

煙とともにあらわれたのは大きなホワイトタイガーだった。

「う…そ…」

ラリアは口を手で押さえて膝から崩れ落ちた。

「なんだとぉーッッ!!?」

性格の悪いおじいさんが大声を出して、なにが気に入らないのか地団駄を踏んだ。

優しそうなおじいさんは嬉しそうに目を細めて笑った。

ホワイトタイガーを出したとうの本人の十伍はやっと状況を理解したようで、つぼみが開くように徐々にその顔には喜びがあふれていった。

「ぃよっっしゃぁぁぁぁ━━━!!!!」

拳を天高く振り上げて、十伍は喜びの声を上げた。

「今のはもしかしてその猫が…?」

審査官のうちの一人がつぶやいた。

「え?ケイトが?」

「にゃぁん」

ケイトは喉をグルグルと鳴らして私の足にすりついた。



< 8 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop