《完》DEVIL'S SWEET 〜天使の憂鬱〜
「―――――! 

そ、それは――…」



さすがに細野さんは鋭い。



たしかに、それは図星。



共演話を利用して会う
ことに、後ろめたさが
ないわけじゃないけど……。



(でもそんな形で会っても……

玲斗はあたしと、ちゃんと
話をしてくれるのかな……?)




不安で心を揺らすあたしに。



細野さんはフッと小さな
笑みをもらして、囁く
ようにこう言った。



「やれやれ。
舞台のヒロインの破るべき
ものは、牢屋にかかる硬い
鉄の格子だったけど――

どうやら君の格子は、その
心の中にあるみたいだね」


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