雲から愛の涙

「ごめん、一人で帰って……」


「えー……帰ろうよ」



あたしの手を揺する健の可愛さに悩殺されそうになるが、頑張って耐える。



「無理だよ」



ほら……あたし、睨まれてるし。


あたしの気持ちを汲み取ってくれたのか健は「わかったよ…」と帰って行った。


そんな健の背中に「ごめん」と心の中で呟いく。



「サイテー」



……え?

ドクンと胸が跳ねた。



「健くんの誘いを断るなんて」
「何様ー?」
「ホントだよね……」



チラッと声のした方に顔を向けた。するとバツの悪そうな顔をしたその集団は、そそくさと教室を出て行った。



……なんで?



一緒に居たら悪口を言われ。
話しかけられたら悪口を言われ。


誘いを断っても、悪口を言われるの?
< 16 / 20 >

この作品をシェア

pagetop