雲から愛の涙
「ごめん、一人で帰って……」
「えー……帰ろうよ」
あたしの手を揺する健の可愛さに悩殺されそうになるが、頑張って耐える。
「無理だよ」
ほら……あたし、睨まれてるし。
あたしの気持ちを汲み取ってくれたのか健は「わかったよ…」と帰って行った。
そんな健の背中に「ごめん」と心の中で呟いく。
「サイテー」
……え?
ドクンと胸が跳ねた。
「健くんの誘いを断るなんて」
「何様ー?」
「ホントだよね……」
チラッと声のした方に顔を向けた。するとバツの悪そうな顔をしたその集団は、そそくさと教室を出て行った。
……なんで?
一緒に居たら悪口を言われ。
話しかけられたら悪口を言われ。
誘いを断っても、悪口を言われるの?