雲から愛の涙
突然、視界が真っ暗になり、鼻がつぶれた。
誰かとぶつかったようだった。
「……っ…」
顔を上げると、そこに居たのは
「……ぁ」
――副担の佐倉先生だった。
頭を軽く下げて歩き出した瞬間、あたしの腕を佐倉先生が掴んだ。
「ちょっとっ……」
ヘッドホンを取られたことによって、周囲の音が耳にボヤけて入って来る。
さすがに大きくし過ぎたか……
じゃなくて。
「返してください」
「こんなものしてるからぶつかるんだよ」
「…………」
出した手を引っ込めずに先生を睨む。
早く返して。