雲から愛の涙
上に着ていたカーディガンのポケットに手を突っ込んで、下を向いて歩く。
チュッパチャップスを口に加えて音楽に集中していると、前に見慣れたスリッパが見えた。
……担任だ。
いつも履いている、黒いスリッパが担任の印。それが見えたあたしは、音楽を止めてヘッドフォンを外した。
「…お前…;始業式の朝からそんなものして…。受験生の自覚あんのか~?」
外した途端に、頭から降り懸かってくる担任の声。
この河野先生は、2年でも担任だった。
掲示板を見てから、妙に安心したようなガッカリしたような。
だけど変な干渉とかないし、楽っちゃ楽なんだよね。
…この人。