雲から愛の涙

でも気にしてないフリはあたしの得意技。


からっていたリュックを机の上に置くと、それの上に腕を乗せ、その腕に頭を乗せた。


ヘッドホンから流れる曲がスローテンポの切ないラブソングに変わって。


そのせいか胸がぎゅっとなった。



「──…奏音!また俺達を置いて行きやがったな!」



ガバッとヘッドホンを外されたかと思うと聞き慣れた声が耳に入る。



「もう……ヘッドホン返して……」


「朝は3人で行こうって言ってるだろ?」


「ヘッドホン」


「なんで置いてくんだよ」



会話できてないんですけど。


バカ光輝。


このバカは広瀬 光輝。
あたしの幼なじみだ。

< 6 / 20 >

この作品をシェア

pagetop