雲から愛の涙
ポンとあたしの頭の上に手を置いた健。その健の手が意外に大きいことは既に知ってる。



「今日も奏音ちゃんは可愛いね」



……やめてほしい。


でも邪険にできないのは幼なじみだから。


2人のこと嫌いなわけじゃない。
むしろ好きだ。小さい頃から一緒だもん。


───…でも。


やっぱり話しかけないでほしい。



「相原さんばっかり」
「ずるいよねー」
「思った!」



ヘッドホンをつけていない今。
みんなの声は筒抜けだ。


光輝の手からヘッドホンを奪うと耳につける。音量も少し上げた。



♪~♪~♪~



アップテンポのノリノリの曲が流れて、少しだけホッとした。
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