リフレイン〜3rd Season〜
「健太…」
「どんなに憎んでても、好きにはなれなくても……朱里を育ててくれた両親には代わりないだろ?俺はそう思う。」
「………」
「二人が結婚して、愛し合って……生まれたのが朱里だろ?自分の子を嫌う親がどこにいるんだよ」
俺は握った手に力をこめた。
朱里は…本当は両親のことが好きなんだ。
本当にどうでもいい存在なら、“嫌い”という感情すら生まれないだろう。
“無感情”より“嫌い”の方が“好き”に近いとは、こういうことだろうな。
「あたし、ずっと愛してほしくて…」
「……うん」
「お父さんやお母さんが、あたしを愛してくれるのを、ずっと待ってて……」
朱里の声が涙声になっていく。
俺はそんな彼女を優しく抱き締める。
「ずっとっ…お父さんに厳しくされるあたしを黙って見てるお母さんを憎んで……でも、それでも……ヒック…あの人達を、心からは、嫌いにはなれなくてっ……」
「……朱里…」
「口では“嫌い”なんて言ってるくせに、心の中では、本当はあたしを愛してほしいって、そればっかり、考えて…っ……」
朱里はその言葉を最後に、激しく泣き出した。
まるで今まで詰まっていたものが、すべて涙になって流れ出るように。