どうしょうもねぇくれぇ、好き。
…と、俺が必死に我慢をしていたのに。
「隼(しゅん)っていうんだけど、とってもぃぃ奴なんだぁ。
相談事もちゃんと真面目に聞いてくれるし、私が落ち込んでる時はすぐに気付いてくれてね、前なんか「前?」」
瑞季が自ら地雷を踏んできた。
聞き捨てならねぇんだけど。
前っていつだよ。
俺の声が低くなる。
「えっと…、一週間ぐらい前かな。」
「一週間…?」
あぁ、駄目だ。
やっぱり駄目だ。
俺の手が瑞季の肩を掴む。
「わた…?」
「お前は誰のもんだ?」
「…え、渉のもの…?」
「そうだよなぁ。」
今の状況を分かってねぇ瑞季が困惑の表情をして俺の目を見る。
「一週間前、俺にその事言った?」
「い、言ってない…よ。」
「瑞季。」
「…はい。」
「オシオキ。」
「えっ、ちょっと待っ…」
恐る恐る俺の顔を見てくる瑞季に俺は満面の笑みで笑って
瑞季をそのまま抱えて寝室へと運ぶ。
その間も瑞季はジタバタと足や手を動かして逃げようとする。
そんな瑞季を俺は少しだけ視界に入れる。