どうしょうもねぇくれぇ、好き。





何をして楽しもうか、と考えながら自転車をひたすらこぐのに専念し始めると


瑞季がさっきの態度とは打って変わって焦った様子で


い、痛い事する?痛いのは嫌だ…。


と俺を上目遣いで見てきた。




俺の予想通りの反応を見せた瑞季に何も言わず優しく笑いかける。



そして、ホッとした様子の瑞季に俺はとびきりの笑顔を見せてこう言うんだ。




"そうだな、痛い事はしねぇよ。痛い事は…ね。"




瑞季が一番嫌いな言い方。



案の定、瑞季の顔が一気に青くなった。




「い、痛く…はしない?」



「痛くはしねぇよ。でも、違う意味で死んぢまうかもな。」




ニヤリと笑うと瑞季がハ、ハハ…と力なく笑った。



俺は瑞季のその様子がおかしくて瑞季に気付かれねぇように笑った。




――…やっぱり、瑞季は俺の最高の女だ。






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