どうしょうもねぇくれぇ、好き。





「あぁ、つぅーか本当は俺が瑞季にプロポーズしようと思ってたんだけどな。」




先越された。と苦笑いすると瑞季が


渉に悪い事しちゃったね…。


と眉を下げる。




いや、俺は逆に瑞季が言ってくれて良かったかな。と思ってるぞ?


なにせ、俺は臆病者で何度も"結婚して"を言いそびれた男だからな。



自分の女にプロポーズされたらここはもう、開き直るしかねぇじゃねぇか。




ハハッと乾いた笑いを溢してからここ最近ずっと肌身離さず持っていたある"モノ"を握り締める。




「なぁ、瑞季。」



「ん?」




覚悟を決めて瑞季の髪の毛をすくと、瑞季は気持ちよさそうに俺にするすると近付いてきてピタリと引っ付く。



そのしなやかな動きに思わず猫を思い浮かべた。




「これ、受け取ってくれねぇか。」




そう言って差し出したのは俺がバイトをしながらコツコツと貯めて買った婚約指輪。



そんなに大層なものでは無いが。





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