どうしょうもねぇくれぇ、好き。
「ねー、ママどして怒ってるの?」
瑞奈が大きな目で覗いて首を傾げる。本当に瑞季にそっくりだ。
将来、瑞奈に悪い男が近付かねぇかが心配だな。
「違うよ。ママはね、パパの事を好きだからヤキモチ妬いちゃったんだよ。」
「焼き餅?」
「んー、瑞奈にはまだ分かんないかな。」
首を傾げる瑞奈の頬を優しくひと撫でしてフッと笑う。
すると瑞奈が
ふーん。じゃあみずな、分かるように頑張るね!
と元気に笑った。
「そうね、瑞奈。頑張らないとね。」
そして瑞季が瑞奈の頭をくしゃくしゃに撫でる。
ふと地面を見ると瑞季が戻した赤いチューリップが
暖かい風に吹かれて気持ちよさそうになびいている。
俺達みたいだな、って思った。
…――いつまでもこの家族が楽しく過ごせる事を願ってる。
そう心の中で呟いて瑞季と瑞奈を見ると、二人はニコニコと笑っていた。
「よし、散歩をもう少し楽しもうか。」
俺がニコッと笑って瑞奈を見ると瑞奈はその場でジャンプし始める。
おっと、危ねぇ。
「わ~い!散歩、散歩♪」
「今度、庭にお花でも植えよっか。」
「ほんと~?うえる~!」
二人の会話を聞きながら後で何処か食べにでも行くか、と思いながら辺り一面に広がる花畑の中、足を進めた。
end