どうしょうもねぇくれぇ、好き。





「ねぇ、やっぱり怒って…るでしょ?」




息を整えながら瑞季は濡れた瞳を俺に向ける。



本当に、その瞳が他の男に向けられるのなんて想像もしたくねぇ。




「怒ってねぇって。」




自分でも、もうこの気持ちが何なのか分かっている。



でも、素直に言えねぇ。




言ったら瑞季が俺から離れてくんじゃねぇか。

嫌な顔されるかもしれねぇ。



そんな想いがずっと心の中をグルグルと巡っていて。





でも。




「言いたい事があるんなら言って。」




そんな想いさえもどうでもよくさせる瑞季の言葉や真剣な表情に軽く、体が震えた。






「瑞季。」



「何?」



「瑞季。」



「どうしたの?」




俺が瑞季の名前を呼ぶ度に優しく反応を返してくれる瑞季に安心する。




やっぱり、瑞季はどこまでも優しい。






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