どうしょうもねぇくれぇ、好き。
マジでしばく。マジでしばく。
そうだった。という表情をした祐毅を見ながら心の中で呪文のようにその言葉を繰り返す。
「まぁ、要するにだ。
腹の痛みが徐々に消えていくように、渉の胸の痛みも徐々に消えていくって事を言いたかったんだよ。」
得意気に祐毅が俺を指差す。
うん、まぁ。
俺を慰めようとしてくれてんのは分かった。
だけどよ。
「………だからって本を投げる必要があったか?」
「多分ねぇな。」
一、二秒の間を空けて祐毅をガン見する。
すると、祐毅は視線を凄い速さで逸らした。
「じゃあ何で投げてきたんだ。」
「………投げたかった?」
「おい待て。何処に行く。」
俺と視線を合わせずにジリジリと蟹歩きでドア付近まで歩く祐毅の肩を掴む。
「お前の頭を思いっきりぶん殴ろうか…?」
「それは駄目だな、渉さんよ。」
拳を握り締めて祐毅の顔の前に出すと、祐毅はキャハッと笑い、俺の手を払って図書室を走って出ていく。
「逃がすかよ。」
「追ってこないでぇええぇ!」
祐毅の叫び声が校舎に響き渡った。