スパイ・ハイスクール


放心していた私だが、自分達のおかれている状況を理解し、慌てて叫ぶ。


「奏、真希、純希!」


まさか、こんなことって......。

心臓がドックンドックンと脈打つ。今まで感じたことの無いそれは、あきらかに私が同様していることを示していた。

あんな動き......私の描いていた山口さんとは大きくかけ離れているあの動き。

最早人間業じゃない。


「気をつけて!かなり早い!」


散らばって待機している3人に告げる。

すると、山口さんは真希の居る西側へ向かったようだった。


「止まってください」


ふと、耳を澄ませれば凛とした声が聞こえた。真希の声だ。

だが、


山口さんはそんな声を無視し、真希の30㎝手前で直角90度、むだの無い角度でそのスピードを落とさずに旋回する!



「......嘘っ」


真希にとっては、瞬きをするとそこには方向転換した山口さんの姿が映る訳だ。

おもわず本音が飛び出る。




< 100 / 165 >

この作品をシェア

pagetop