スパイ・ハイスクール
放心していた私だが、自分達のおかれている状況を理解し、慌てて叫ぶ。
「奏、真希、純希!」
まさか、こんなことって......。
心臓がドックンドックンと脈打つ。今まで感じたことの無いそれは、あきらかに私が同様していることを示していた。
あんな動き......私の描いていた山口さんとは大きくかけ離れているあの動き。
最早人間業じゃない。
「気をつけて!かなり早い!」
散らばって待機している3人に告げる。
すると、山口さんは真希の居る西側へ向かったようだった。
「止まってください」
ふと、耳を澄ませれば凛とした声が聞こえた。真希の声だ。
だが、
山口さんはそんな声を無視し、真希の30㎝手前で直角90度、むだの無い角度でそのスピードを落とさずに旋回する!
「......嘘っ」
真希にとっては、瞬きをするとそこには方向転換した山口さんの姿が映る訳だ。
おもわず本音が飛び出る。