スパイ・ハイスクール
この部屋が、いや、この辺り全てが、世界が止まってしまったんじゃないか。
そう思えるほどの静寂が5人と山口さんを包んだ。
それだけの衝撃だった。
“狼人間なのでしょう?”
“狼人間なのでしょう?”
“狼人間なのでしょう?”
奏の言葉だけが私の頭の中で響いては消えて、また響いて。
感情が込められてもいない、ただ事務的なことを話すように発されたその言葉だけが木霊する。
自分も人間と言えば、人間で。
人間では無いといえば、人間では無くて。
そんな存在だから、別に驚くことでも無いのかもしれない。
しかし、「狼人間」というファンタジックな存在を受け入れるには時間、というものが必要なわけで。
ーーーまさか。信じられない。