スパイ・ハイスクール










この部屋が、いや、この辺り全てが、世界が止まってしまったんじゃないか。

そう思えるほどの静寂が5人と山口さんを包んだ。

それだけの衝撃だった。




“狼人間なのでしょう?”
“狼人間なのでしょう?”
“狼人間なのでしょう?”



奏の言葉だけが私の頭の中で響いては消えて、また響いて。

感情が込められてもいない、ただ事務的なことを話すように発されたその言葉だけが木霊する。



自分も人間と言えば、人間で。
人間では無いといえば、人間では無くて。


そんな存在だから、別に驚くことでも無いのかもしれない。

しかし、「狼人間」というファンタジックな存在を受け入れるには時間、というものが必要なわけで。


ーーーまさか。信じられない。

< 108 / 165 >

この作品をシェア

pagetop