スパイ・ハイスクール


「そして、僕はあることに気がつきます。その子犬の鳴き声は月の満ち欠けに比例しているようだ、と」


私は思わず、あっ、という声をあげた。
言われてみればそうだ。

「1週間前から子犬の鳴き声が聞こえてくる」と原が黒猫本部に訪れた、その次の日が満月だった。

月が満ちてくる時に、子犬が鳴きだす......。なんだか都合が良すぎるような...?



「満月の日は不思議なことが起きる、と聞いたことはありませんか?

英語のlunatic(狂人)はラテン語の「月に影響された」という意味からきているらしいです......というのは余談ですが。

僕はまず、そこに注目しました。そして、満月のときの奇怪な話について、とある知り合いに調べてもらったのです」


その瞬間、私の頭には、ピンク色の髪の毛をした、あの人が浮かんだ。


「しかし、そこではたいした収穫が無かった。なぜなら、今回は子犬の鳴き声。関係あるような話は無くて。

しかし、月に着目したのは無駄じゃ無かった。なぜなら、僕は1つの仮定にたどり着くことが出来たからです。


ーーーそれが、コレです」



そうやって私のまえに出されたのは......狼人間についた書かれた紙だった。

咲夜さんに渡された紙の中の1つだ。



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