スパイ・ハイスクール


再び、沈黙が私達を包む。
誰も、何も言わない。言えない。

視線は自然と山口さんへ注がれた。

誰も、この均衡を破ることは出来ない。





やがて、ぼそり、と声が聞こえてきた




「それだけの根拠を持っているなら......お話するしか、ないようですね。

......そうです。僕は狼人間です。しかし、ただの狼人間ではありません。







僕は人間の父と、狼人間の母との間に生まれたハーフの狼人間なんです」





そう言って、ぽつり、ぽつりと山口さんは話し出した。

その姿は、まるで、罪人が自分の犯した罪を吐くように。

諦めたのか、吹っ切れたのか。理由は分からないれど、その声は落ち着いていた。





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