スパイ・ハイスクール
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私はその下の地図を見ようとした。
しかし、見れなかった。
なぜなら、
ーーー山口さんの涙で滲んで見えなかったからだ。
「ヒ、......ック、ゥア、」
「泣かないで下さい、山口さん。折角の地図が濡れてしまいますよ」
「な、ッなんでッ、ぼ、ぼ僕に......ヒッ、協力、してくれる、の、ですか?」
あんなに驚かせてしまったのに、と彼は続けた。
「僕らは、どちらか一方だけが利益を得る、なんてことは望んでいません。あなたも、あなたのアパートの住民の方も、皆で共存していって欲しいからですよ」
そして真希が、
山口さんの肩に優しく手を置いた
「ウッウッ、ウッウワァアアァァアーーーッッ」
山口さんは声をあげて泣いていた。
私達は自然に笑えていた。
これで本当に、依頼解決へ向かった気がした。