スパイ・ハイスクール
正反対の2人なのにね、と真希は呟いた。
「まぁ、正反対で、お互いに無いものを持ってるから惹かれあうんじゃない?」
「あら、徳佐。それって徳佐と棗のことじゃない?」
「「別に惹かれあってなんかない」」
「よ!」
「し」
「ほら、息ぴったり」
真希はふふっ、小さく笑った。
「笑うなよ!ただ一緒に暮らしてて息が揃っただけじゃん!」
「こんな猛獣と息が揃うなんてごめんだよ」
「はぁ?猛獣?誰の事言ってんだよ」
「アレ?口に出して言った方がいい?」
「......もういいよ」
「いい、って言いながら人の足踏む癖、なおそーねー」
「うっざ!」
純希もその会話がおもしろかったのか、笑いだした。
「なっちゃんも徳ちゃんもおもしろーいっ!くくっくくくっ、くくくくくっ」
「何か笑い方変!てか、笑う『星凛高校では、涙の修行式となりました』
私の「笑うなよ!」は突然大きくなったテレビによってかき消された。