スパイ・ハイスクール
「ごめん!リモコンつっかえちゃった!」
どうやら純希がつかえてしまったようだ。
慌ててその犯人の純希は音量を元に戻す。
「あーもー、びっくりした。...てか、何の話してたんだっけ?」
「......棗って、ホントバカだよね」
「きっと忘れたほうが、幸せよ」
「そうだよ、なっちゃん」
なんだか双子の哀れみの視線に耐えられなくて、徳佐の馬鹿にするような視線がムカついて、蹴りを1発いれておいた。
あ、勿論徳佐にね。
しかし、だ。今日から1ヶ月以上に及ぶ夏休みが始まるのだ。
カコンーー。
ジュースの中の氷が涼しげな音を出す。
(思いっきり楽しもう!)
高1の夏休み。高校生活初めての夏休み。
思いっきり楽しんでやるんだ。
ーーーこの夏休みがとんでもないことになることを、この時、私はまだ知らない。