スパイ・ハイスクール

「あ、棗。もう6時だから張り紙を出してきてくれないかしら?」

「嘘!もう6時!?」


7月に入ってからというものの、7時になっても明るい日が続く。そのため、夕方の時間は時計が頼りだ。

真希に言われるまで、もう夕方になっていることなど気がつかなかった。


「急いで出してくる!」


そのままバタバタと玄関へ向かった。後ろから、クーラー入ってんだからドア開けっ放しにするな!っていう奏の声が聞こえたけどまぁいい。


その走った勢いで扉を開けたその時だった。


バタンゴッ!ドサッ!


(......ん?ゴッ?ドサッ?)


私は確かにドアノブを捻り、ドアを開けた。走った勢いそのままに。

しかし、それだけでの無い微かな抵抗と「ゴッ!」という音。そして、何かが倒れるような「ドサッ!」という音。

さっきの奏の色気のある汗とは別の意味の汗が背中を伝う。

......何だか嫌な予感がするぞ。
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