スパイ・ハイスクール

恐る恐るドアを向こう側を覗いてみると、


「あっちゃぁ.....」


予想は的中。ドアが当たった証拠、おでこを赤色に染めた人がこちらを見つめていた。


「大丈夫ですか?すみませんっ」


私は頭を下げ謝り、そのまま手を差し伸べた。

相手は男性で、中高年と老人の間といったところだろうか。白髪が目立ち、疲れたような顔をしている。革靴にクールビズのスーツ姿といった格好をしている。


「痛たたた。いえいえ何のこれしき。すぐに痛みはひきます。どうかお気になさら......」


私と彼の目が合ったその時、彼は驚き、目をカッと見開いた。一瞬だけ、彼が私の手を握る力が弱まる。


「?」

「っあ、ああ。すみません。とある人にあなたの顔がそっくりだったもので、びっくりしてしまいました。お気遣い有難うございます」


そういって彼はぎゅっと私の手を握り、立ち上がった。

......誰と似ていたんだろう?まぁ、今はそれよりも。


「この辺に何か用があったのですか?お詫び、って言ったら変かもしれないですけど、案内なら出来ますよ」


「おお。それはありがたい。

実はこの辺で、殺人や利益目的ではなければ調べ物をしてくれる団体があると聞いて


「……、え?」

「それらしきビルを当たっていたのですが......。何かご案内願えますかな?」

「それ、うちです」


彼が再び目を見開いたことは言うまでもない。





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