スパイ・ハイスクール

「マスコミの情報によると、自殺、ということになっていましたが何故だったのです?」

「それが......」


それが?


「分からないのです」


え?

思わずきょろ、と徳佐の方をみた私の目線と徳佐の目線がぶつかる。


「自殺、と分かっているならば、遺書か何かあったのでは?」

「遺書は無かったのです。ただ、警察の方で鑑定をしてもらった結果、自殺で間違いない、と」

「つまり、彼女が自殺に至った経緯は未だ不明、と」

「そうなんです。学校側としても集会を開いたり、生徒達に聞き込みをしておりますが、一向に情報が手に入りません」


真田さんはため息交じりにそう言った。

なるほど。今回の依頼が見えてきた。


「このままでは、他の生徒を不安にさせてしまいます。何より、その女子生徒の親御さんが、本当のことを知りたがっているのです。

だから、依頼をしに来ました。


彼女を自殺に追い込んだものはなんだったのか。真相究明をお願いしたいんです」


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