スパイ・ハイスクール
「会議だなんて、珍しいわね?」
「今回は、捜査するのが難しそうだからな」
「難しい?」
奏の言っていることがよく分からなくて聞き返す。
「そうだ。まず、自殺の根源を探る、というのは簡単なことじゃない。教師達は分からないなら尚更」
「それに相手は有名女子高だからね。今調べてみたけど、かなりのお嬢様が集まってるみたい。セキュリティーも万全だろうね」
徳佐がパソコンの画面を見ながらそう言った。
「まぁ、こっちには敏腕情報屋がいるから情報には困らない。ただ、実際に行って調べるのは徳佐が言った通り......難しいだろうな」
「潜入捜査すりゃいいじゃん。ちょうど夏休みだしさぁ」
私は何も考えずに、そう言葉を発した。
しかしそれを聞いた瞬間、なぜか奏がにやり、とした。というか眼鏡の後ろの瞳がキラッと光ったのだ。
まるでその言葉が出るのを待っていたかのように。
「向こうはあの有名女子高だぞ?となると、使える人材は棗と真希」
人材、だなんて失礼しちゃう、と言うのは真希。
「てか、使えるのは真希だけでしょ」
「お前は発する言葉全てが失礼だな、徳佐」
なんだか嫌な予感が......