スパイ・ハイスクール
ぼふっ、とソファに思い切り腰を落とした。
やっと寮(ホテルと言ったほうがいい)の部屋についた。本当は今すぐにでも周りを調べて本部に教えなきゃいけないのだが、とにかく疲れた。
慣れない環境、謎の少年との出会い、明日から始まる学校生活。
疲労に不安が重なり、今すぐ眠ってしまいたい、という衝動に駆られる。
重たい頭をぐるりと動かし寮の部屋を見渡すと、寮というよりマンションのワンルームという方がしっくりとくるような部屋だった。
机、椅子、ソファ、パソコン、テレビといった家具・家電は一通りセットされていて、風呂・トイレも各個室に1つずつ。1階に食堂(これもレストラン、という言い方の方がしっくりきた)があるため調理器具・キッチンは無い。
広さも十分。大きな窓からは、さきほど見て回った綺麗な庭や花園がライトアップされているのが見える。
高校生に対して、あまりにも贅沢すぎる寮。
外見ホテル、中身はワンルームにレストランってどういうことだよ。
「はぁ」
思わずため息が出る。
コレが当たり前だと思って今まで生きてきた連中と明日から関わるなんて私には無理だ。
「......」
ふいに徳佐の顔が浮かんだ。
そして奏や真希、純希の顔。
1日離れただけなのに、なぜか遠く感じる。