スパイ・ハイスクール
「おはようございます」
食堂へ行った私を迎えたのは、営業スマイルのお姉さんだった。なんだか貼り付けた感じがして、良い印象は持てない。
「寺西様でございますね?」
「あ、はい」
「朝食はバイキング形式になっております。食器はこちらにお戻しください」
「あ、ありがとうございます」
「ではごゆっくり」
ただ機械的に話すその口調もなんだが怖い。
思えば、このレストラン(だから食堂ですって)。すがすがしい朝だとは思えないほど、空気がよどんでいる。
生徒同士が仲良く話をしているわけでもなく、ただ黙々と食事をしているような感じだ。
先ほどの徳佐からの電話の時に感じたものとは違う不快感のようなものが押し寄せる。
「あれー?新入りさん?どしちゃったのよ、暗い顔してぇ?」
「...えっ」
振り返ると、そこには1人の少女がいた。
くせっ毛の髪を両サイドにくくり、いくつかそばかすが見える。にかっと笑うその笑は太陽のよう眩しい。