スパイ・ハイスクール
キーンコーンカーンコーン...。
夏休みの間は聞かなくて済む、と思っていた悪魔の笑い声を聞き、気分が落ち込む。
私は今、教室の外の廊下にいる。本鈴が鳴り、先生の紹介を聞いたあと教室に入るという、超ベタな転校生ロードを歩む予定だ。
黒猫のみんなに転校生ロードとか言ったら笑われるかな。......って、皆のことは考えないようにしないと。
ここでは私1人で頑張らなければならないのだから。
奏曰く、この学校のレベルは私が通っている学校とあまり変わらないからその辺はいい。それより問題なのはあの言葉だ。
「気をつけな。アンタ、有紀に顔がそっくりだ」
昨日の少年といい、菜乃といい、私の顔はそんなに有紀に似ているのだろうか。
咲夜さんから何も言われなかった、ということは、有紀さんの顔は一般公開されていないのだろう。奏に連絡いれとかないと。
2度めのチャイム、つまり本鈴が鳴る。
「入りなさい」
ガラ、
担任の先生に促されて、教室に入る。
しかしそこに広がっていたのは、食堂よりも酷く禍々しい雰囲気に包まれた教室だった。
自分が通っている学校の教室よりも、明らかに広く、綺麗なはずなのに、そこには活気がなかった。
それに、