スパイ・ハイスクール


「でさぁ~、依頼人の名前はぁ?」

「そうそう、そろそろ教えてくれてもいいじゃない!」


駄々っ子のような言い方をする純希と、その姉真希。

双子は興味津々、といった所だろうか。私と徳佐の2人は嫌な予感しかしない為、聞きたくない、というのが本心なのだが。

ああ、もう。依頼人の名前を聞くのに、こんな緊張したことはないぞ。


「どうした?徳佐も棗を浮かない顔をしているな。なにかあったのか?」


自分の必殺腹黒笑顔でこの2人は何かを悟った、と分かりながらも聞く所がやはり腹黒。この男は侮れないぞ。今に分かったことじゃないけれど。


私はスー、ハー、と深呼吸を繰り返し、心を落ち着かせた。

本当は聞きたくないけれど、双子が早くっ、早くっ!と急かしている為、腹をくくるしかない。





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