スパイ・ハイスクール
「ナニモナカッタヨ」
「そうか。片言なのがえらく気になるが、ほっとこうか」
おおっっ.......。言葉の棘がありすぎる......。
そんな私をおかまいなしに奏は話し出した。けっこうなダメージくらってんのにな、私。
「......じゃあ、依頼人の名前を発表するよ」
そう言った瞬間、奏の眼鏡の奥にある目がキラリ、と光ったのを私は見逃さなかった。
「今回の依頼人の名前は原 啓子。徳佐・棗の2人には、これ以上の説明は不要かな?」
奏の目がキラキラの輝く時ーーー。
それはすなわち、彼にとっての至福の時間、つまりは目の前にいる人間が苦痛を訴える時にキラキラと輝きだすのだ。
私達、黒猫メンバー思いな奏は、私達によほどの苦痛は与えないけれど、ジワジワといたぶるのが大の趣味らしい。(純希情報)
腹黒。そして、隠れS。それが小野寺 奏という奴なのだ。